5年に1度を目安に見直しが検討される、動物愛護法(正しくは動物愛護管理法)が2019年6月12日に改正・成立しました。
犬や猫を飼う人が一番気になるのは「マイクロチップ義務化」ではないでしょうか。
我が家の姉妹猫(2歳)は未装着なので、今回の改正を受けて検討し始めています。
そこで、今回はこの法改正で決まったことと、義務化されたマイクロチップについて改めて調べてみました。
改正動物愛護法が成立 犬猫にチップ装着義務化 (写真=共同) :日本経済新聞
【目次】
- 今回の改正動物愛護法で決まったこと
- マイクロチップとは何か?おさらい
- マイクロチップ装着に伴う健康被害は?
- 海外へ渡航する際はマイクロチップ装着必須の場合も
- マイクロチップは万能ではない
- マイクロチップ義務化は適正飼育への第1歩となるか
今回の改正動物愛護法で決まったこと
今回の重要な改正点は主に3つあり、これらは公布から3年以内に施行されます。
マイクロチップ装着義務化
今回の法改正ではブリーダーなど繁殖業者に装着を義務付けることとなりました。一方で、一般の飼い主は努力義務ということです。
マイクロチップは改正前から脱走や迷子対策として飼い主に推奨されていました。
今回の業者に対する義務付けは、背景に動物を不法に遺棄する悪質業者が絶えないという問題があるからだとされています。
虐待の罰則を厳罰化
ペットの虐待・殺傷に対する罰則を「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から、「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に引き上げられました。
これも、動物虐待が社会問題化していることが背景にあります。
生後56日以下の犬・猫の販売を禁止
今までは生後49日(7週)以下は販売不可とされていましたが、この改正で56日(8週)以下は不可となりました。
これは早期の販売がその後の生育に支障をきたすとして問題視されていたからです。ただし、天然記念物指定の日本犬は規制の対象外。
賛否あるようですが…。
マイクロチップとは何か?おさらい
そもそも、マイクロチップって何?体に埋め込むって安全なの?という疑問がわきますよね。そこで、今さらですが簡単におさらいします。
識別番号を読み取るためのチップ
長さ8mm~12mm、直径2mm程度の円筒形で、アンテナとICを内蔵している「電子タグ」です。15桁の固有の数字がデータとして記憶されていて、「リーダー」と呼ばれる専用の読取機を使ってそのデータを読み取ることができます。
引用元:アクサダイレクト
この米粒大のチップを皮膚下に埋め込むことで、半永久的に(耐用年数約30年)使用できます。専用リーダーは動物病院や自治体が保有(病院によってないところも)。万が一迷子になってもチップが埋め込まれていれば飼い主が見つかりやすいというわけですね。
マイクロチップ装着費用
装着は医療行為に当たるので、獣医師が行います。費用は病院によって異なり、一般的には5000円~という場合が多いようです。また、装着してから情報を登録しますが、その際には別途登録費用1000円がかかります。
飼い主の個人情報などは登録制
リーダーで読み取れるのは15桁の数字です。そのデータに飼い主の情報などを「登録」することではじめて効力を発揮します。
そのため、飼い主の連絡先が変わった際は、登録を変更を忘れずに行わなければなりません。
登録情報が変更になったときにも必ず変更の連絡をしてください。変更については、費用はかかりません。
引用元:日本動物愛護協会
登録先はAIPO(動物ID普及推進会議)に
AIPOとは、Animal ID Promotion Organization (動物ID普及推進会議)の略称で、マイクロチップによる犬、猫などの動物個体識別の普及推進を行っている組織です。
引用元:環境省
動物病院でチップを装着する場合は、おそらく自動的にAIPOに登録されると思われます。ただ、一部のブリーダーやペットショップでは別機関のチップを採用・装着して販売している事例があるとのこと。
それが良い、悪いではないのですが、リーダーで読み取れなければ意味はないので、AIPOであるということを確認してから装着するのが望ましいでしょう。
マイクロチップ装着に伴う健康被害は?
チップが発する電磁波が心配されますが、日本獣医師会で問題なしとのお墨付きが出ているとのこと。また、チップが体内にあることでの健康被害も報告されていないということです。心配な人は、まずかかりつけの獣医師さんに相談してみると良いでしょう。
海外へ渡航する際はマイクロチップ装着必須の場合も
海外から日本へ犬・猫を連れてくる場合は、「マイクロチップ埋め込み証明書」の提出が求められます。
逆に日本から海外へ渡航する場合は、渡航先の国によって装着が義務となっていることがあるので、まずは渡航先のルールをチェックしましょう。
シンガポールに猫を連れて渡航されたブロガーのりょこさんが、そのときのノウハウを分かりやすくまとめてくれています。
りょこさん、ありがとうございます。とても参考になりました。m(__)m
マイクロチップは万能ではない
マイクロチップは装着したといってもまれに読み取りにくい場合があります。また、情報の更新をしなければ飼い主が見つからないということも頭に入れておくべきでしょう。しかし、万が一災害などで脱走してしまった場合、チップが装着されていればすぐに殺処分されるという事態は避けることができるのではないでしょうか。
マイクロチップ義務化は適正飼育への第1歩となるか
ペット販売業者および飼い主の飼育放棄や虐待を防ぐため、業者へのマイクロチップ装着が完全義務化されました。
まだまだそれでは悪質ブリーダーは減らないという意見もありますが、適正飼育への第1歩として、今後の動向に注目すべきだといえるでしょう。
努力義務とされる一般の飼い主も、もちろん他人事ではありません。
我が家も今年のワクチン接種時に装着しようと思っています。
※2019年12月追記※猫たちがお世話になっている動物病院では、マイクロチップ装着は麻酔推奨でした。また、ワクチン接種のデリケートな状態のときにマイクロチップを埋め込むこともあまり勧められなかったため、ワクチン接種時の装着は断念しました。麻酔もリスクがあるため、不妊手術のときに装着するのがもっとも望ましい形だとのことです。
この記事のあと、首輪は装着済みです。